2008年07月08日
石持浅海「温かな手」
忙しいにょ〜。…と言いながら帰ってきて、コンビニ弁当を片手に読み始めたらするするけろりと1冊読んじゃったのでご紹介。2008年に読了した本34冊目、石持浅海:著、「温かな手」東京創元社:刊。
ギンちゃん&寛子さん、ムーちゃん&匠さんの2組のカップルが出会う事件の数々。短編連作として、あるときは研究室の殺人事件、またあるときは消えてしまった恋人探し…そして、カップルの片割れ、ギンちゃんとムーちゃんが探偵役となり、事件の全貌を推理する。
実はこの探偵役の2人、人間じゃなくていわゆる吸血鬼的なナニカ(作中で本人たちが吸血鬼と言う呼称を嫌がってるんだけど、だからといって何々族みたいな通称も出てこない)なのですが、人外のナニカだからといってミステリー成分にさほど影響しないのが面白い。犯人を取り押さえるのにこの特殊な力が小道具的に使われてたりはするんだけど、まあ、事件を起こす主体はフツーの人間の方なので、事件の成立とその推理にはあんまり影響を及ぼさないってところか。
ギンちゃんとムーちゃんは兄妹で、物語の終盤になって2組のカップルが合流し、静かなラストへと話が収束していく。…で、ああやっぱり人外のキャラクターじゃないとダメなんだなあ、と物語り全体を見渡して納得するので、「ミステリーにこんなえすえふな設定持ち込んじゃダメじゃん」とか言わずに読み進めるのが吉。
石持作品としては、「人柱はミイラと出会う」とか「Rのつく月には気をつけよう」の系列だと思うけど、「賢者の贈り物」よりも統一感があってバランス取れてる感じ。あと、人外のナニカながらも美しい魂を愛する種族だけあって、どこか澄んだ印象を与えるギンちゃん&ムーちゃんが、もうちょっとシリアスな作品群に登場するキャラクターに近い印象をもってると感じました。綺麗すぎない石持浅海、ということでプッシュしておきます。
それにしても、ホンソメワケベラ(もどきのほうだけど)とシャンブロウを同列に並べたらダメでしょ…いや、ダメじゃないのかもしかして…と、この辺が今回の重箱の隅的石持ワールドでありました。


